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WEB ip [ SEP.2009 ]

煩悩no.117「後腐れなく別れたい!」

一部の人にしか言っていないのだが、今年の初夏から実は同棲を始めた。
ワタシはそんな気さらさらなかったのに、アイツが強引に転がり込んできたものだから
拒むに拒めず…。
もうかれこれ3カ月以上にもなる。
初めはアイツの存在をどうしても認めることができず、ぶつかってばかりだった。
しかしながら、不思議なもので、同じ屋根の下で暮らしていると、
限りなく「情」に近い「愛情」がわいてくるもので…。

家賃こそ納めてくれないものの、アイツはかなりの働き者だ。
そのがんばっている姿に勇気づけられることがなかったと言えば、嘘になる。
朝から晩まで、雨の日も風の日も、大阪の街を飛び回っていたアイツ。
これから生まれてくる、我が子のために…。

そう、結局私は、ただの止まり木にすぎなかったのだ。
今と言うこの時間だけの居心地いい存在…、その先に未来などない。
それがわかっていたからこそ、ワタシは嫌われるために、ありとあらゆる手を尽くした。

アイツが大切に築き上げてきたものを、ワタシは幾度となく壊し続けた。
その度にアイツは悲しそうな顔をして、私を見つめるのだ。
しかし、決してワタシを責めることはしなかった。

「出て行って!」とヒステリックに叫び、そこら中のモノを投げつけた時には、
一言も反論することなく、静かに家を出て行った。
今でも、その後姿は鮮明に思い出すことができる。
そこに残ったのは、ぽっかりとした寂しい空間。
ついさっきまで、アイツが微笑んでいた空間。

寂しい夜をいくつ越えただろう。

アイツが残していった想い出のカケラを目にする度に、胸がキュンと締め付けられた。
「元気にしてるかな」「新しい居場所、見つけられたかな」
そんなことを考えていたら、聞き覚えのある音が聞こえてきて…。
「まさか?まさかね。でも…もしかして?」
急いで窓を開ける。
そこにいたのは、まぎれもないアイツだった。

そんなこんなで、何度となく別れてはくっついて、
別れてはくっついてを繰り返し続ける、ワタシとアイツ。
いつか来る「終わりの時」を知りながら…。

このままじゃ、笑顔でサヨナラ言えるまで、もう少し時間がかかりそう…。
だけどもう、ワタシ疲れちゃった。
「もう、終わりにしましょう。別々の道を、歩みましょう」

アイツの写真↓
名称:セグロアシナガバチ

生息場所:家の周り

活動時期:6〜10月

その他:刺されると痛い

そう、アイツとはハチのこと。
花の蜜を吸うミツバチならまだしも、肉食のアシナガバチ。
最近のイチバンの悩みの種である。
ベランダの巣、壊しても壊しても、戻ってきよんねん!

駆除のために色々と調べてみたところ、このアシナガバチ、女王蜂らしい。
交尾後に冬眠した女王蜂は、冬眠から目覚めた5月頃に一匹で巣を作り上げ、その巣へ産卵。
羽化した子どもたちが働き蜂となるそうで。

つまりは子どもたちが羽化するまで、女王蜂は働き続けねばならないってこと。
なんだかこれって、人間社会と似てない?

定住させまい、繁殖させまいと、
ワタシが何度も巣を壊すもんだから(←働かせ過ぎの日本社会)、
産みたくても産めない女王蜂(←出産・育児に関する社会制度の乏しさ)。
最近では巣作りと産卵を諦めたようで、食糧を狩りに行く以外は、
ベランダ付近を自由にぶんぶん飛び回っている(←現代女性の社会進出による非婚化・晩婚化)。

そしてしょっちゅう部屋の中に侵入。
ちょいちょーい!ぐいぐい距離縮めてきてませんか?アナタ…。

「お互いひとりもん同士、仲良くやろうよ〜。シングルライフを思いっきり謳歌しちゃおうよ〜」
と、言われてるような気さえする。



いやいや…、「出てってちょーだいっ!」

と言いながら毎日のように、部屋の中に入ってきたハチに、虫取り網をブンブン振り回すワタシ。
まるで自分を見ているようで、殺生はできないのよねぇ…。

お願いだから後腐れなく別れて〜!!!
118個目の煩悩へ続く…

[最新公演情報]
ババロワーズ第17回公演「スペース・ラビット・ハンバーガー・システム」
10月28日(水)~11月3日(火祝)合計11ステージ
会場:シアトリカル應典院
前売・WEB予約 2,500円/当日3,000円/高校生以下1,500円(要学生証)
詳細は、ババロワーズ公式HPで!

長滝安希 (ババロワーズ)

ええ大人がバカバカしいことをとことん本気で表現していく、関西小劇場界の自称・秘密兵器「ババロワーズ」在籍。 クロムモリブデン、208+での映像制作活動を経て、裏方からいつのまにやらコメディエンヌに。また、大阪芸術大学在学中から、アホアホ映像作品を多数制作&発表。密かにドイツやフランスで上映された輝かしい過去も…。が、メカに弱いため、時代の流れについていけず、最近はウン十万もするカメラが押し入れの肥やしになっている。 大学卒業後は表現活動と並行しながら、TV業界→大学→広告業界で働いた後、2008年よりフリーライターに。昭和の時代を愛するアラサー独身女子として、勝ち犬気取りの負け犬人生を面白おかしく満喫中。 座右の銘は「人生、運と縁と勘」。

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http://babarowa.sakura.ne.jp/
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