演劇クリエイターたちが演劇以外で表現するマンスリーWEBマガジン = [ ip ]
WEB ip [ AUG.2009 ]

お頼み其の四「さよなら神様」

神様「・・・オ、オイース」
わし「あれ、神様どうしたんですか元気ないじゃないですか」
神様「う、うん。夏バテ、かな」
わし「何バテてるんですか!夏サイコーじゃないですか!ホイミホイミ!」
神様「アサヤンは元気やなあ」
わし「毎年、夏が始まると今年こそは満喫しよう!って思うんですけど難しくないですか?」
神様「24時間走らなアカンから?」
わし「それ、日本で一人だけのピンポイントな悩みでしょ」
神様「あら、そう?」
わし「結局、生活に忙殺されてまうじゃないですか」
神様「そうやねえ」
わし「でも今年のボクは違うんですよ。だって神様がいてるじゃないですか!どーぞ夏を満喫させて下さい!」
神様「・・・そうやね。最後の願いやしね」
わし「・・・最後って」
神様「実は神様、戻ることになってん・・・」
わし「え!戻るって・・・。じゃ、お別」
神様「湿っぽいのはやめようや、夏なんやし!」
わし「神様・・・。そうですね、夏なんやし!」
神様「今年は特別な夏になるぜ!」
わし「望むとこだ!」
神様「よーし、アサヤンが夏を満喫できるように『松崎しげる』にな〜れっ!ぷるるんるん」
わし「ちょいちょいちょい!」
神様「ん?どったの」
わし「いま何て?」
神様「夏を満喫できるように」
わし「そのあと」
神様「ぷるるんるん」
わし「その前!」
神様「松?」
わし「崎」
神様「しげる?」



わし「それ!なんで夏を満喫するためにボクを松崎しげるにするんですか!」
神様「なったらわかるって。ぷるるんるん!」
わし「ぷるるんすな!」
神様「じゃ、聞くけどアサヤンは夏に何をしたいの?」
わし「キャンプとか」
神様「じゃ、松崎しげるやな。キャンプではやっぱり頼れる男が必要やからな。しげるは元刑事で、宇宙海賊やで」
わし「それ『噂の刑事トミーとマツ』『劇場版スペースコブラ』やん!どっちも役やがな」
神様「キャンプにしげるは必要やって。まずキャンプ行ったら何する?」
わし「テント張りますかね?」
神様「じゃ、松崎しげるやな。言うても『高橋開発』やで」
わし「それCMやん。人の家入ってきて歌うだけのCMやがな」
神様「テント張れたらそろそろお腹も減るんちゃうのん?」
わし「次はバーべキューとかですかね」
神様「じゃ、松崎しげるやな。東海地方の焼肉のさかいのCMで『松崎こげる』ってテロップ出るくらいやから、お手の物」
わし「その情報、誰も知らんでしょ」
神様「夜になったらどうするの?」
わし「やっぱり花火としたいですね」
神様「じゃ、松崎しげるやな。闇夜に溶け込んで、いきなり現れてロケット花火打つからチョー盛り上がる!」
わし「危ないわ!そこまで黒くないでしょ」
神様「しげるなめんなって!しげるのメラニンは、もうメラニンの向こう側に行ってるねんぞ!」
わし「何言うてるかわかりません」
神様「花火で盛り上がった後は、どーすんのこのスケベ!ちょんちょん!」
わし「そ、それは〜」
神様「じゃ、松崎しげるやな。二度の離婚を経て現嫁は23歳年下。57歳で父親に。女房の笑顔さえあればバイアグラ要らずだぞ!ちょんちょん!」
わし「何を言わせたいんですか!でもおもしろそうですねえ。松崎しげるも悪くないかも」
神様「そっか。こんな夏、悪くないか」
わし「はい」
神様「じゃ、アサヤンは自分なりの松崎しげるを目指したらいいと思う」
わし「神様・・・」
神様「決して、完璧な松崎しげるになれへんかもしらんけど、それは大した問題じゃない」
わし「う、う・・・」
神様「これからはー!逆に松崎しげるがアサヤンになるぐらいになって欲しい!」
わし「・・・」
神様「神様は信じてる!君ならやれるって」
わし「わ、わ、わ――――っ!」



わし「ま、松崎しげるさんですか?」
しげる「そうだけど、君は?」
わし「僕、大阪来ました。いきなりですけど、ぼ、僕と戦ってください!」
しげる「は?サインしてあげるから、君の心にメモリーして帰り」
わし「わ、わ――っ!(グーパンチ)」
しげる「て、てめえ何しんだコノヤロー!(ジャンピングニーパット)」

戦うこと30分。
さすが絶倫だ。しげるは強かった。
アサダはボコボコにされてしまった。
しかし・・・

わし「まだまだ・・・」
しげる「しつこいんだよ。お前の負けだろ」
わし「どうしても負けられないんだ。君に勝たないと、神様が、神様が帰れないんだ!(猫パンチ)」
しげる「コノヤロー(フルネルソンスープレックス)」
わし「あいたたた・・・君に勝たないと・・・」
しげる「わかったわかった。なんだか知らないけどお前の勝ちだ」
わし「え?・・・やった・・・神様・・・僕、ひとりで松崎しげるに勝ったよ・・・」
神様「アサヤン!」
わし「え、神様?」
神様「うん」
わし「でも、ここ東京だよ」
神様「ピュって来た。神様やから」
わし「そっか。僕、僕・・・」
神様「何も言うな・・・(涙)夏やねんからもっと、クールにいこうぜ!」
わし「今まで、ありがとうございました!」
神様「アサヤン・・・。君はホットなやつだな」
わし「さようなら!」
神様「さようなら!来週の木曜日に帰ってきます」
わし「・・・は?」
神様「10日ぐらい出雲へ行ってます」
わし「どういうこと?」
神様「オカンが夏休みぐらい帰ってこいってうるさくてやー」
わし「・・・単なる帰省?」
神様「ジャスト帰省」
わし「もう、戻ってぐんなー!!!!」
神様「♪美しい人生よ、限りない喜びよー。この胸のときめきをあなたにー!二人に死が訪れて、星になる日が来てもー、あなたと離れはしないー」



わし「だまらっしゃい!」

アサダタイキ (TheStoneAge)

西中島南方の交差点で悪魔に出会い、魂を売って笑いを手に入れた男。This is アサダタイキ。
劇団The Stone Ageに所属し、自身のコントユニット「身体と笑いだけの関係」やソロ活動「朝田屋」などを、客演や他劇団への戯曲書き下ろしなどをしながらも、節操なく活動。
アーンド、双子の父。

劇団サイト=
http://stoneage.yamagomori.com
個人ブログ=
http://ameblo.jp/hibi05/